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2024年11月23日
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開発者の視点で見るiPad
2010年01月31日
とりあえずiPadに関する公式情報はほぼ出尽くしたようなので、一開発者としての視点でiPadについて私見を述べてみます。
なぜ今回もFlash非対応なのか
まず、Flashへの非対応について。これは対応させる気があれば既にiPhone 3GSが出るまでには対応させていただろうと思われるので、「Flashは未来のWebには不要なもの。」というアップル社の思想が背景にあるように思えます。ネット上の噂話に「Flashの存在はApp Storeを脅かす存在だから非対応にしているのだ。」などといったものがありますが、これは間違いでしょう。もしそれがFlash非対応の理由ならHTML5を使用したWebアプリケーション開発や配布もFlash同様にApp Storeの外で行われ、その存在を脅かすものであるはず。そのためHTML5もFlash同様に非対応を貫かなければおかしいはずです。ですがHTML5への対応についてはFlashとは正反対であり積極的に行われています。ここから考えられるのは、「HTML5は今後必要になるものなので積極的に対応してゆく。」という思想です。Flashが飯の種という人たちにとっては残念な話なのでしょうけれど、外野がいくら騒いだところでこの方針が変わることは無いと思われます。
なぜMac OS XではなくiPhone OSなのか
iPadの動作OSがMac OS XではなくiPhone OSであるのは、「指で画面をタッチして使う機器にはiPhone OSのほうがMac OS Xよりも適している。」という思想があるのではないかと思われます。実際にやったことがあるわけではありませんが、Mac OS X動作機器を「マウスのようなポインティングデバイスなし、タッチパネルを指のみ」で操作するのは至難の業でしょう。話はそれますがアメリカではModBookという、「Apple純正MacBookホワイトなどの画面を液晶タブレットに置き換える改造したもの」を売っている会社があります。ちなみに価格は一番安いものでMacBookホワイト分も込みで2248ドルからだとか(本体持ち込みの改造のみは1299ドルから)。このModBookは指での操作も一応できるようですが、細かい操作はスタイラスを用いなければ厳しいものと思われます。Mac OS X向けの開発用には用意されているツリー表示用の部品がiPhone用としては存在していないのも、指では操作中に画面が隠れてしまうため、マウスポインタ操作のような数ドット単位の細かいコントロール が容易ではないからでしょう。
アプリケーション開発者にとっての魅力は何か
さて、何も特別な道具なし、指のみで直感的に操作可能というのが売りのiPhone OSですが、それゆえの開発上の問題点もあります。iPhone OSの標準ユーザーインターフェイス(以下UIと略)用の部品はどれもそこそこのサイズがあります。そのためUI部品を多数必要とするようなアプリケーションを作ろうとすると、画面がそれらで埋め尽くされ、データ表示部分が狭くなってしまうのです。狭い部分に無理をして多くのデータを詰め込もうとするれば、文字が小さく読みにくくなってしまいます。逆にデータ量を減らせば一覧性が低下し、全体を把握するために何個かの画面を右へ左へと行ったり来たりしなければならなくなります。そこを何とかするのが開発者の腕の見せ所だろうという厳しい声も聞こえて来そうではありますが(汗)、多くの開発者にとって頭の痛い問題だったのは事実でしょう。
そんなわけで、今回発表されたiPadをiPhoneアプリケーション開発者の視点で見てみると、一番の魅力は画面の解像度とサイズです。まずピクセル単位で考えると、画面はこれまでの5.12倍の面積があります。そしてppi(pixel per inch)の比較でもiPhone/iPod touchが163ppi、iPadが132ppiですから、たとえこれまでと全く同じピクセル数の文字を表示させたとしても、1.2倍以上の大きさとなり読みやすくなることがわかります。UI部品配置の自由度は格段に上がり、一画面で表示できるデータ量も一気に増える。開発者にとってこれは大いに歓迎すべき部分でしょう。
当日追記:
Flashの非対応については別の側面もあるかもしれません。アップル社にとってiPhone OSは「コンピューターにあまり詳しくない人でもセキュリティ面で余計な心配をせずに使えるインターネット端末」を提供するためのものとも考えられます。ユーザー側によるマルチタスク不可も、背後で動作するコンピューターウィルスやスパイウェアの排除という側面もありそうです。この点から考えると、Flash対応→iPhoneのセキュリティ管理をアップル社で一元管理できない→セキュリティ面に他社任せで不安な部分が出来てしまうという図式が成り立ちます。アップル社としては「これまで信頼を築き上げてきたiPhone OSのセキュリティ面での安全性を他社任せにして失うようなことがあってはならない」と考えているのかもしれません。HTML5についてはアップル社の自己責任でSafariに実装するものなので、たとえ不備が見つかっても自身で対処できます。これはFlashとは対照的な部分です。HTML5の積極的な採用と、Flashの非対応にはこのような背景もあるのではないでしょうか。
OSについては、Mac OS Xを入れたらストレージ(フラッシュメモリ)の大半がそれで埋まってしまうのではという問題や(フル機能のMac OS Xや周辺ソフトをインストールするなら16GBでは足りないのでは?)、OSのメジャーバージョンアップファイルが肥大化して「オンライン配布でボタン一 つでアップデート」というiPhoneのようなシンプルさが失われてしまうという問題があります。ストレージ容量はハードディスクの搭載や搭載フラッシュメモ リーの大容量化でなんとかできたとしても、「素直にMacBookでも買ったら?」という価格帯になってしまいそうです。また、「バージョンアップはお手持ちの母艦とケーブルで繋いだ後にディスクを入れて、説明書でも見ながら頑張ってね」というのは大衆向けの手軽な機器を目指していると思われるiPadにあってはならないことでしょう。 結局のところ、コストやターゲットを考えると、Mac OS Xの搭載はあり得ないということになるのではないでしょうか。
なぜ今回もFlash非対応なのか
まず、Flashへの非対応について。これは対応させる気があれば既にiPhone 3GSが出るまでには対応させていただろうと思われるので、「Flashは未来のWebには不要なもの。」というアップル社の思想が背景にあるように思えます。ネット上の噂話に「Flashの存在はApp Storeを脅かす存在だから非対応にしているのだ。」などといったものがありますが、これは間違いでしょう。もしそれがFlash非対応の理由ならHTML5を使用したWebアプリケーション開発や配布もFlash同様にApp Storeの外で行われ、その存在を脅かすものであるはず。そのためHTML5もFlash同様に非対応を貫かなければおかしいはずです。ですがHTML5への対応についてはFlashとは正反対であり積極的に行われています。ここから考えられるのは、「HTML5は今後必要になるものなので積極的に対応してゆく。」という思想です。Flashが飯の種という人たちにとっては残念な話なのでしょうけれど、外野がいくら騒いだところでこの方針が変わることは無いと思われます。
なぜMac OS XではなくiPhone OSなのか
iPadの動作OSがMac OS XではなくiPhone OSであるのは、「指で画面をタッチして使う機器にはiPhone OSのほうがMac OS Xよりも適している。」という思想があるのではないかと思われます。実際にやったことがあるわけではありませんが、Mac OS X動作機器を「マウスのようなポインティングデバイスなし、タッチパネルを指のみ」で操作するのは至難の業でしょう。話はそれますがアメリカではModBookという、「Apple純正MacBookホワイトなどの画面を液晶タブレットに置き換える改造したもの」を売っている会社があります。ちなみに価格は一番安いものでMacBookホワイト分も込みで2248ドルからだとか(本体持ち込みの改造のみは1299ドルから)。このModBookは指での操作も一応できるようですが、細かい操作はスタイラスを用いなければ厳しいものと思われます。Mac OS X向けの開発用には用意されているツリー表示用の部品がiPhone用としては存在していないのも、指では操作中に画面が隠れてしまうため、マウスポインタ操作のような数ドット単位の細かいコントロール が容易ではないからでしょう。
アプリケーション開発者にとっての魅力は何か
さて、何も特別な道具なし、指のみで直感的に操作可能というのが売りのiPhone OSですが、それゆえの開発上の問題点もあります。iPhone OSの標準ユーザーインターフェイス(以下UIと略)用の部品はどれもそこそこのサイズがあります。そのためUI部品を多数必要とするようなアプリケーションを作ろうとすると、画面がそれらで埋め尽くされ、データ表示部分が狭くなってしまうのです。狭い部分に無理をして多くのデータを詰め込もうとするれば、文字が小さく読みにくくなってしまいます。逆にデータ量を減らせば一覧性が低下し、全体を把握するために何個かの画面を右へ左へと行ったり来たりしなければならなくなります。そこを何とかするのが開発者の腕の見せ所だろうという厳しい声も聞こえて来そうではありますが(汗)、多くの開発者にとって頭の痛い問題だったのは事実でしょう。
そんなわけで、今回発表されたiPadをiPhoneアプリケーション開発者の視点で見てみると、一番の魅力は画面の解像度とサイズです。まずピクセル単位で考えると、画面はこれまでの5.12倍の面積があります。そしてppi(pixel per inch)の比較でもiPhone/iPod touchが163ppi、iPadが132ppiですから、たとえこれまでと全く同じピクセル数の文字を表示させたとしても、1.2倍以上の大きさとなり読みやすくなることがわかります。UI部品配置の自由度は格段に上がり、一画面で表示できるデータ量も一気に増える。開発者にとってこれは大いに歓迎すべき部分でしょう。
当日追記:
Flashの非対応については別の側面もあるかもしれません。アップル社にとってiPhone OSは「コンピューターにあまり詳しくない人でもセキュリティ面で余計な心配をせずに使えるインターネット端末」を提供するためのものとも考えられます。ユーザー側によるマルチタスク不可も、背後で動作するコンピューターウィルスやスパイウェアの排除という側面もありそうです。この点から考えると、Flash対応→iPhoneのセキュリティ管理をアップル社で一元管理できない→セキュリティ面に他社任せで不安な部分が出来てしまうという図式が成り立ちます。アップル社としては「これまで信頼を築き上げてきたiPhone OSのセキュリティ面での安全性を他社任せにして失うようなことがあってはならない」と考えているのかもしれません。HTML5についてはアップル社の自己責任でSafariに実装するものなので、たとえ不備が見つかっても自身で対処できます。これはFlashとは対照的な部分です。HTML5の積極的な採用と、Flashの非対応にはこのような背景もあるのではないでしょうか。
OSについては、Mac OS Xを入れたらストレージ(フラッシュメモリ)の大半がそれで埋まってしまうのではという問題や(フル機能のMac OS Xや周辺ソフトをインストールするなら16GBでは足りないのでは?)、OSのメジャーバージョンアップファイルが肥大化して「オンライン配布でボタン一 つでアップデート」というiPhoneのようなシンプルさが失われてしまうという問題があります。ストレージ容量はハードディスクの搭載や搭載フラッシュメモ リーの大容量化でなんとかできたとしても、「素直にMacBookでも買ったら?」という価格帯になってしまいそうです。また、「バージョンアップはお手持ちの母艦とケーブルで繋いだ後にディスクを入れて、説明書でも見ながら頑張ってね」というのは大衆向けの手軽な機器を目指していると思われるiPadにあってはならないことでしょう。 結局のところ、コストやターゲットを考えると、Mac OS Xの搭載はあり得ないということになるのではないでしょうか。
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